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アリファリング No.6 Coming home

2010年02月16日 23:16

 

 民家へ向かう道中、フェイル達はスライムの群れに遭遇した。というより、スライム達の方がまるでフェイルとの遭遇を意図したかの様に現れたのだ。

 アリファは思わず足を一歩下げたが、フェイルはまるで動揺しておらず……というより溜め息を吐きながら一歩前へ出た。


「大丈夫、すぐ終わるから」


 そう言ってフェイルが剣を横に一振りすると、スライムの群れは真っ二つに切り裂かれ、形状を失った液体と化した。少々グロテスクなその光景にアリファがフェイルの後ろに隠れると、フェイルはにこりと笑ってアリファの肩に手をおいた。



「心配ないよ、こいつ等は形状記憶能力を持ってるから小一時間もすれば元に戻る。そのせいかこいつ等いつも事あらば俺にリベンジを仕掛けてくるんだよな。もう飽きちゃってさ」


 アリファはこの言葉にフェイルの優しさを感じ取った。飽きたのならば、元の形状に戻れない程に崩せばいい。だがそれをしないのはフェイルが無益な殺生を好まないから。そうアリファは捉えたのだ。

 アリファは微笑むと、その後の道中を今まで以上に軽快な足取りで向かった。



「見えてきた」

 その後も暫く道中を進むと、フェイルの民家が見えてきた。そこでようやくフェイルは自分が何を目的としていたかを思い出す。


「アーッ!? そういえば俺、薪を集める為に奥地に行ってたんだった」

「え!? じゃあ急いで戻らないと」

 フェイルは足踏みをしながらあたふたとしたが、冷静と取り戻すと苦笑いを浮かべた。


「でもこれからルディブリアムに行くんだから、もう関係無いか」

 アリファはそれを聞いてがくりと肩を落とした。民家の目の前でとんだ取り越し苦労だと言わんばかりに。フェイルはその様子を見て焦りながらも、玄関の戸を開いた。


「ごめんごめん、さっきのは忘れて。汚い家だけど遠慮せずに」

 そう言ってアリファを手招きした。アリファがやや遠慮気味に入ると、続いてフェイルも中へと入る。玄関の戸が閉まると同時に、薪集めと聞いて急ピッチで隠れたスタンプ達が安堵したように木々から出てきた。

 それは森林一の狩人から開放された瞬間の、モンスター達の束の間であった。



 一方、フェイル達は家内で早々と支度を始める。といってもアリファはやる事も無く、その場に座り込んでいた。

 フェイルは何やらタンスの中をガサガサとあさっている。もう使っていないであろう、少し湿気た服が飛び交う中、目的の物が見つかったのはフェイルはそれを掲げた。


「あった!」

 すぐさまフェイルはそれをアリファへと投げる。アリファは手をおどおどさせながらそれを取って見ると、その正体は大きな白ローブだった。


「街中をその黒翼で歩くわけにはいかないだろう? 普段はそれを着用しておくといいよ、防寒にもなるし」

「あ……ありがとう」


 アリファはその場でワンピースの上からローブを羽織った。大きなは綺麗に足まで隠れ、黒翼も見事に誤魔化せていた。


「生地がふかふか、気持ちいい」

「なんたって父さんが使っていたという上質なローブだからね。限定プレミア物だよ」

 それを聞いてアリファはローブの臭いを嗅いだ。男臭さが無い事を確認してホッとしているその様を見て、フェイルは苦笑を浮かべずにはいられなかった。


 続いてフェイルは同じくタンスの奥をあさり、お目当ての物を発見した。

「俺の必要なのはこの……アダムの宝剣専用ホルダーだ」


 フェイルはその場に剣を降ろすと、ホルダーに剣を刺し込んだ。剣に調節してボタンを閉める。そのままホルダーを肩から背中にかけて背負うと、違和感の無いように背負布の長さを調節した。

 自然とホルダーが背中にはりつき、機敏な動作にも揺れないのを確認すると、フェイルは「よし」と一言言って、ホルダーを背中に背負ったまま剣を抜いたり収めたりしてみた。

 それを何度もする内、フェイルは感慨深くなる。


「これがあれば街中でも安全に剣を持てるし、いざという時も瞬時に構えられる! くぅ、やっぱり最高だぜこのホルダー!」


 この後、はいはい良かったね。というアリファの冷めた反応が返ってきたのは、余りにもご愛嬌であった。









束の間の安息、だが旅立ちは眼前へ……。

次回、仲間現る。ヨシア見参。


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