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アリファリング No.9 Realistic lie

2010年02月19日 18:24

 

 アリファと同じく眠りについていたフェイルは目元をゴシゴシと手で拭いながら返事を返した。目を細くあけ、ヨシアを見つめるが、ヨシアは真剣な眼差しでフェイルを見つめていた。


「話したい事がある。彼女が起きたらまずいから外で話していいか?」

 ヨシアはつま先立ちでそっと歩き、扉をゆっくりと開いた。冷たい風が僅かに部屋を吹き抜ける中、ヨシアは外に出た。

 フェイルも事の重大さを寝起きながらに察知し、大きな欠伸で目尻を濡らした後、それで目垢を拭い取って、外に出た。扉が静かに閉められる。



「何だよ」

 フェイルは既に民家の壁に寄り掛かっていたヨシアを見て、同じく寄り掛かると尋ねた。


「夜空、綺麗だと思わねえか?」

 ヨシアは満天の星空を両手で大きく示した。無数の星々を統べる様に存在する月。時々に鳴く梟がどこか悲しげな哀愁を漂わせていた。

 横風を自分の後ろめたさを映している様で少し背筋を凍らせる。どうしてこんな暗転に人は魅了されるのだろうか? 不穏の中に、人は何か感じている。

 この暗闇に興じて、世界に闇に沈む事に人は臆する癖に、興味も抱く。


「そうだな、余りに偏屈で本心から遠くかけ離れた、そんな感傷に浸る。っていうか、それだけかよ!?」

「なわけねえだろ。あいつだよアリファ、アリファ・ベルモンドの事でちょっとさ」


 ヨシアは空にふぅっと息を吐いた。白ばむそれは鮮やかすぎる曇天に似ている。実に奇怪。


「アリファが、どうかしたのか?」

 フェイルは途端に眼差しが変わった。それを見てヨシアは尚更、息を吐き出す。今度のは溜め息だ。



「お前、アリファに肩入れしすぎてねえか? いくら突発にして運命的な出会い、かつその相手がベッピンなんて夢の様な事が起こったからって、肩入れしすぎだ」

「あいつの、私を殺してっていう言葉を聞いた時、心が酷く痛んだ。あいつの、世界を背負い込んだ涙を見た時、心が酷く熱くなった。それだけだよ、俺の動く理由なんて。肩入れなんて軽い言葉を使わないで欲しい」


 フェイルのそれを聞いて、ヨシアは暫く夜空を見上げると、突然フェイルの想像だにしない返答を返した。



「至災の間に悪心を葬れば、彼女も共に命を葬られる」

「何だと!?」


「嘘だよ」

 ヨシアはこめかみを二回叩くと、指先でクルクルパーを描く。フェイルは堪忍袋の尾を切らし、ヨシアに飛び掛った。


「てめえ、言って良い事と悪い事ってのが……!」

「静かにしろ、アリファが起きるだろ。……もし、もしだ。俺の言ったそれが本当だったとしたらどうする? 本当にアリファが死んじまったら、お前はどうする?」


 フェイルは感情を昂りを歯ぎしりで押さえ込みながら、掴んだ胸倉を離した。ヨシアの言った事の意味等、到底理解する耳など持たず、荒げれない声で呟いた。


「あの時のアリファに嘘は無かった、絶対に。お前にあいつの何が……」

「何もわからない。でも、あいつが世界の運命を背負ってる事はわかる。それがどういう事だかわかるか? 何が起きてもおかしくないんだ。有り得ない事もこの状況で有り得るに変わる。つまり……」


 ヨシアは空を見上げた。フェイルもその言葉を聞く内に冷静さが取り戻されると同時、ヨシアのいう現実も真に感じ取る。本能的に空を見つめると、そこには星々と月を覆い隠す一転の曇りがあった。


「想定外の事態が発生して、アリファが命を落とさないとも限らない」









現実の刃を懐に感じて、少年は何を思う?

次回、決意。結果を求めて。






コメント返信


>みーるさん

いえ、このブログを観覧して貰えるだけでも有り難いです。

良ければ感想等待ってます。

メイプルの年齢層故、小説ブログは中々支持されないので (爆)
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