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アリファリング No.12 過ぎ去りし虚空

2010年02月23日 18:12



 先手を仕掛けたのはフェイルだった。素早く剣を右斜めに振り、ゴーレムの左腕に一撃。そのまま反動に合わせて右腰に一撃、計二連撃。

 が、しかし、剣の当たった二箇所はいずれも少し削れた程度でとても外傷を与えたと呼べる程度のものではなかった。


「やっぱり外面は堅牢な鉱物で固められてるから駄目だな、普通の一振りじゃまず崩れない」


 続くはゴーレムの反撃、両手の平を組んで上が腕を振り下ろす。そこそこのスピードはあるもののやはりは動きは遅い為、フェイルはそれを回避するととりあえず一歩距離を置いた。


「遅いけど一撃でももらえば手痛いからな」

「拉致があかねえ、簡単な所にあんだろが、弱点が」


 そういってヨシアはゴーレムの赤く灯った目を狙って弾丸を放つと、それは見事に的中し、ゴレームの目となっていた機械はひしゃげて赤く灯るのを止めた。

 確かに周りを覆う鉱物は堅牢だが、視界にそれを作るわけにはいかない、目こそがゴーレムにおける最大の弱点だったのだ。


「いけフェイル! そのままとどめを……」

 叫ぶヨシアだったが、それに反してフェイルは剣をホルダーに収めた。ヨシアが納得いかないように銃口をゴーレムへ向けると、それをも制す。


「見ろ、奴の敵味方を判断する基準は目だ。その目が壊れた今、もうあいつは何もしないよ」

 フェイルの言う通り、ゴーレムはその場で右往左往し、視界が失われた事を確認すると、動く事を止め、その場に立ち尽くした。


「何百年も死んだ主人を待ち続けてゴーレム達は徘徊しているんだ、そんな奴を俺は不用意には殺せないよ。生きてるんだから」

「そうだな、だが、目的も失っているのにそれも知らずにただ無我夢中になっているあいつを見ると、俺は空しくなるぜ」


 三人は感傷に浸っていた。特にアリファ、どこか似た境遇にある彼女はこのゴーレムに一番感傷を受けた。皆がその場に立ち尽くし、何となく呆然としている中、それを破ったのはフェイルだった。



「……あ!」

 フェイルは思い出した様にゴーレムの下へと走り、10メルを拾い上げた。満面の笑みを浮かべてそれを自分の財布にしまい込む。


 それを見てヨシアとアリファは頭に手をやっていた。

「本当に大丈夫かしら……」

「ムードぶち壊しだぜ、バッドボーイもいいとこだ」


 器を小ささを露呈してしまったフェイルはそれを見てハッとすると、申し訳なさそうに肩を潜めて二人の下へと戻った。今一度、ゴーレムの姿を確認した後、フェイル達は背を向け歩き出した。もう後ろは向けない、振り向いても過ぎ去った虚空しかないのだから。



 その後の道には何という困難もなく、時たま襲い来るデンデンやスライム等のモンスターを軽くあしらいながらフェイル達は突き進んでいった。淡々かつ感慨深かったリスへの道のりは、フェイル達に大きな何かを刻み付けていた。


「見えてきたぞ、リスの街だ」

 ヨシアがようやくといった具合に呟くと、その先には確かに大きな港町の姿があった。長かった徒歩の旅路もこれでようやく一段落。フェイル達は走って港町まで駆け込んだ。

 船出、ここより。偉大なる大きな一歩、眼前に。









虚空を超えて、我等また一つ育ち行く。

次回、大きな一歩への印と勇気。


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