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アリファリング No.14 これ以上無い気持ち

2010年02月26日 00:18


「お待たせ……あれ?」

 急いでかけ戻ったフェイルは、ヨシアがいない事に疑問を抱いた。辺りを見回すと、アリファもそれを察する。


「ヨシアなら喧嘩を仲裁をしに行ったわよ、すぐ戻るって」

「あ、そういう事か」

 フェイルはそれを好都合だと思った。今からフェイルがしようとしている事は、ヨシアに見られているといささか恥ずかしいものがある。


「それなら丁度いいや、アリファ、君に渡したいものがあるんだ」

 フェイルはポケットの中をあさると、雑貨屋で購入してきた指輪を取り出した。木製の指輪で、ニスで深みのある光沢を醸し出している。アクセントはダイヤモンドに似せたガラス細工らしい。

 アリファはそれを見て、しばし戸惑った表情を見せた。顔を赤らめながら、お礼を一言、頭を下げながら呟く。


「あ、ありがとう」

 それを見たフェイルはアリファの手を優しくとって、指輪をそっとはめた。ゆっくり見上げるアリファに微笑みを返す。


「俺全然メル持ってないから、こんな安作りの指輪しか買ってやれないけど、アリファが喜んでくれるなら……」

「もちろん、こんなに嬉しい事は今までに無いわ!」

 フェイルはアリファに抱きつきたくてたまらなかったが、それを必死に抑え込んだ。この指輪はそんな卑猥な結果を求めた買ったもの等ではないから。



「そこまで喜んでもらえるとは思ってなかったよ」

「プレゼントなんて、始めてだから……」

 誕生してこの方、重圧ばかりを受け続けていたアリファにとって、自分の心の充実こそ、この上なく欲している欲求であった。フェイルは話を続ける。


「父さんが昔いってたんだ、どんな陳腐な物でも、それにこれ以上無い気持ちがこもっていれば、その物にはその人の心が宿るんだって。だから俺はこの指輪を君にプレゼントした。これ以上無い気持ちを込めて」

 恥ずかしそうに頭を人差し指で掻くフェイルを見て、アリファは下目で優しく指輪を見つめた。


「そのはず……だってこの指輪、こんなにも温かい」

 それを聞いてフェイルは思わず笑みをこぼした。


「だから苦難が起こった時、その指輪を通して俺を感じてくれ。恐怖に心が凍えそうな時、俺の心がアリファを必ず温めるから」

「うん。やっぱりフェイルが、私にとって一番温かい」


 二人にどぎまぎとした空気が流れる。これ以上何という事もなく、ただ無意味に時間だけが経過していく。それが破ったのは帰ってきたヨシアだった。



「おっす! 仲裁終えてきた」

「ど、どうだった!? ちゃんと仲裁出来たか」

 フェイルは無理矢理ながらも、何事も無かったかの様な自分を演じた。それを見てアリファも不器用ながらそれを合わせる。


「当たり前よ、喧嘩してた奴等、逃げていったぜ」

 ヨシアは明らかに違和感のある二人から事を済んだのだと察し、アリファの方をちらりと見た。アリファのはめていた指輪が目に止まり、ヨシアは口元とニッとさせる。


「何だ? お前今笑ったろ?」

 フェイルが疑問気に尋ねる。よもやヨシアが気を利かせてその場を離れた等とはまるで検討もせずに。


「何でもねえよ、ただすがすがしいだけだ!」

 フェイル達は飛行船乗り場に向かう。青空好調、夕方を控えるその空はあまりに軽快で、今後の旅への気持ちを爽快とさせてくれる。









足は軽々、軽快はステップ。前方異常無し。

次回、飛行船搭乗。


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