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アリファリング No.16 Chest that becomes hot

2010年03月01日 17:40



 受付所に着くと、ヨシアが受付員に尋ねる。

「すいません、三人部屋の鍵を貰いたいんですけど」
「三人部屋ですね。では201号室の鍵をお渡ししますのでどうぞ」

 受付員は鍵をヨシアに渡すと、一礼した。
 フェイル達は201号室向けて、ホールの階段を下っていく。二階程下った所で、少し進むと201号室が見えた。


「ここか」

 ヨシアは鍵を使って扉を開くと、中に入っていく。
 フェイルとアリファもそれに続いて入ると、中には少し余裕のあるスペースにベッドが三つ並べておいてあった。


「このベッドは俺な!」

 フェイルは勢いよくベッドに飛び込んだ。スプリングが軋む音を立てながらフェイルの体を受け止める。
 小さく数回バウンドした後、フェイルの体はふかふかベッドに浅く沈んだ。

 ヨシアは子供臭い行動に出たフェイルの肩を叩いたが、反応が無い。
 焦って体を反転させると、フェイルは既に熟睡していた。ヨシアはとりこし苦労だとため息をつく。


「飛び込んで寝るまでどんだけ早いんだよ……。まあ、今日はせかせかとした一日だったしな」
「このまま寝かせてあげましょ」

 にこやかな笑みを浮かべるアリファを見て、ヨシアはある事を感じていた。
 フェイルも熟睡しているし大丈夫かと、ヨシアはアリファの肩を叩いた。

「少し話したい事がある。上に出て風にでも当たりながら話をしないか?」
「え? いいけど」

 アリファは突然の事に少し戸惑っていたようだが、ヨシアは信頼し、それに応じた。



 ヨシアとアリファは室内を出て船の上、すなわち上甲板の上に出た。
 そこは子供達が空の下遊んでいたり、カップルがムードに浸っていたりと、憩いの場になっている。

 二人もカップルの様に壁面に肘をついて、風に当たる。
 ローブ姿の少女とボサボサ髪の少年なんて、少々奇抜な組み合わせであるが、雰囲気は出ていた。


「なんかこれってカップルみたいね」
「俺とカップルみたいにになるぐらいならフェイルとなりたかったろ」
「そ、そんな事……!?」

 アリファは顔を赤らめながらそれを否定した。ヨシアは上機嫌な笑いを浮かべている。


「まあ照れるなよ、冗談だって。まあこれも話す事には少し関係するんだけどよ」
「そう、それよ。話って何?」

 誤魔化す様にヨシアの言葉にすぐ言葉を返すアリファに、ヨシアは単刀直入に尋ねた。


「そうだな、じゃあ分かり易く言うぞ。フェイルはお前の事が好きだ」
「な……え!? フェイルがそんな事言ってたの!?」
「いや、そうは言ってなかったが、雰囲気見てりゃバレバレだ。お前も感づいてたろ?」

 ヨシアの言う通り、確かにアリファもフェイルの感情には感づいている節があった。
 いつから? そう言われれば最初からだろうか。

 アリファが結晶から誕生してその時から、フェイルはアリファに熱心だった。
 一目惚れ? それは違うだろう。最初は熱心だったと言うべきだ、悲しきアリファという存在に対して。

 しかしその熱心はおのずと愛へと変わっていった。そこに境界線が無かっただけの話、というのが正しいだろう。



「その顔を見る限り、やっぱり感づいてはいたって感じだな」

 アリファはその場で黙りこんだ。赤くなった顔を今は一時でも早く風に当てて冷やしたい。
 ヨシアはそれを見て言葉を続ける。


「実は出発前日、お前が寝てる時にあいつとも話しをしたんだ」
「え?」

 アリファは動揺した。前日といえばヨシアのボロ民家の時。その時に何かがあったというのか?

「その時あいつはこう言ったんだ」

 ヨシアは過ぎ去って行く風と雲に目を向けながら、ゆっくりと息を吸った。アリファはそれをじっくりと見つめている。


「それでも俺はアリファを護りたい。俺はアリファが好きだから」

 ヨシアの放ったその一言は、アリファの視覚を錯覚へと追い込んだ。
 ヨシアの姿が被るのだ、フェイルの姿と。アリファには感じられた、フェイルがそう言ったその時を。

 アリファはぎゅっと胸を手を掴んだ。熱い、こんなにも優しい言葉がこの世界に存在しているのだと、初めて知った。


「風にこれだけ吹かれているのに、どうして? 体が……胸が熱いよ」

 目をつむって両手で体を締めつけるアリファを見て、ヨシアは奥深いような、何とも言えない表情を浮かべる。

「だからこそ逆に問う。アリファ、お前はフェイルの事が好きか?」









迫る核心、アリファの心境は何を示す?

次回、心境決着。その時船は……!?


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コメント

  1. ないとぎる | URL | -

    おお、フェイルに対するアリファの気持ちが気になる!楽しみにしてます。

    プロフィールのは自画像ですか?

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