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アリファリング No.20 五撃

2010年03月09日 00:26



「西方の炎犬と東方の灼猫よ、相対なれど北方を向け。ファイアバーナー!」

 ヨシアのうねる様な声の刹那、銃口から炎が勢いよく放射される。
 その範囲はかなり大きく、バルログの巨体を包み込んだ。

 詠唱も加えられ相当な高温なのかバルログは叫び声をあげてその場で手を振り回した。


 じだんだした攻撃はやみくもではあったが、放射するタイプである故、近距離を余儀なくされたヨシアはそのやみくもに直撃した。
 
 爪による引っ掻きで胸部をやられると共にヨシアはアリファのいる方へと飛ばされた。
 勢いよく船体の外壁に直撃し、吐血する。
 急いでアリファが駆け寄ったが、ヨシアはそれを制止してアリファの前に立った。


 アリファが叫ぶ。

「ヨシア!?」
「お前は……護る。フェイル! 今ならお前の攻撃が通るはずだ」

 ヨシアの言う通り、バルログの表面を覆っていた硬質な皮膚はファイアバーナーによって焼けきっていた。
 ようやく見えない勝機が姿を表した。ここからが反撃開始だ。



 フェイルは声を張り上げながら、バルログに斬りかかる。
 硬質な皮膚を持っていた故に、防御を知らないバルログは防御もせずにその一撃に受けて立つ。

 が、結果は先刻までとは反転し、剣はバルログの筋部をしかと引き裂いていた。
 生まれてこの方感じた事の無かった激痛にバルログは身を仰け反らせた。

 完全に流れは逆風を示している。


 そうフェイル達が感じた瞬間だった。

 この戦いで学習したのか、バルログは怒の感情をその場、忘れ去り標的をフェイルからアリフェへとシフト。
 口元で薄く笑むと、直ぐにその表情は力のあるものへと豹変し、前方に魔方陣が出現する。

 この時、フェイル達は標的のシフトに気づくか最早遅い。
 バルログは翼を大きく広げ両拳を腰で強く握り締めると、魔方陣から黒色の波動弾を繰り出した。
 そのサイズはフェイル達の体躯と変わらない程でアリファが受ければそのダメージは致命的だろう。


 フェイルは剣を突き出して波動弾の軌道を逸らそうとするも、コンマ間に合わず、波動弾アリファに襲い来る。
 
 アリファは思わず目を瞑った。波動弾を避ける術は残されていない。
 人は眼前に物体が迫る時、眼球の損傷から……否、現実から逃れる為、目を瞑る。

 神に祈る時も然り、人は目を瞑らずして現実からは目を逸らせない。目が有り続ける限り、現実は姿を消し等しないからだ。



 英雄への偉業は

「終わらねえよ」

 ヨシアが繋いだ。


 アリファが閉じていた目をゆっくり開くと、確かにそこには現実が提示されていた。
 だがそれは想定とは違う現実。自分を庇って背中に波動弾を受けていたヨシアの姿だった。

 しかしアリファと目を見合わせるヨシアの顔にはどこか幸福なものがあった。
 
 アリファがそれを理解し難ねながら涙を落としていると、
 ヨシアは自分の相棒ともいえる銃をその場に落とし、人差し指でアリファの涙を拭ってやった。

 絶対に引き金を狂わせない様、血に触れない様にしていた人差し指で。


「背中の傷は恥じゃねえ、護る男の勲章さ。だから……泣くな、俺はちょっと休憩するだけだから。後は頼んだぞ、フェイル……」

 ヨシアはその場で倒れ込んだ。どうやら傷によるショックで気を失ったらしい。呼吸はあり、命に別状は無さそうだった。
 しかし、アリファは自分に背中を賭してくれたヨシアに対し、泣くなと言われた事を守れなかった。


「ごめんね、涙が止まらない……。でも今度は私が貴方を助ける番だから」

 アリファはそう言うと両手を倒れたヨシアにそっと乗せた。

「万緑の神秘、エルフィニティよ。金平糖を宝石箱へと誘わん如く、生命に緑化を。ヒール」

 詠唱と共に、アリファの場に緑の魔方陣が現れ、ヨシアの傷が塞がれていく。
 
 フェイルはそれを見て驚嘆していた。回復魔法とは誰にでも使えるものではなく、
 何らかな特殊な系列を持っている者にしか使えないとされているからだ。最も、アリファはその枠内に入っているといえるが。


「お前、回復魔法なんか使えたのか」
「うん、最果ての泉が与えてくれた、私に対する唯一の正。それがこの回復魔法、ヒール」

 アリファはさながら女神の様な微笑みを浮かべていた。
 
 だが、フェイルは安穏とした表情を浮かべるわけにはいかない。ここは戦場、前方にはバルログ。
 バルログはアリファこそ倒し損ねたが、ヨシアが戦闘不能になったのを良しとした様な表情を浮かべていた。



「おい、バルログ」

 後を任せたヨシアの言葉を脳内でかみ締めながら、フェイルはバルログに睨みをきかせた。
 バルログは復讐心という、自分が持ち得ない感情を見せるフェイルに疑問を持っている。


「お前にこの戦いの豆知識を教えてやるよ。俺がお前に今まで当てた攻撃の数を」

 フェイルは吐き出した息を急激に吸い込みきると、次の瞬間怒号をあげた。

「五撃だ!! そしてお前はヨシアの炎弾で硬質の皮膚を失った。五撃の意味を教えてやるよ……俺のフィニッシュアタックで!」









ヨシアの託す勝機。流れはフェイルの最後(ラスト)へと繋がる。

次回、五撃の意味とは? フィニッシュアタック極まるか!?


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