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アリファリング No.28 迷いは捨てたはず

2010年03月26日 12:39



「青春って良いわねえ」

 事情を悟ったリツカは首を傾け、右手でそれを支えながら感傷に浸っていた。
 ヨシアは隣に立ったまま、隣のリツカを見続けている。
 その視線を察してリツカは首を左に曲げると、ヨシアと目が合った。
 リツカは思わず溜め息を漏らす。

「あんたがもう少し格好良かったら私の旅も薔薇色だったかも知れないのに」
「それはこっちの台詞だ。俺はお前の胸にしか興味はねえよ」
「あっそ。でも見ないでくれる? 気持ち悪いから」

 リツカは腕組みをして胸を隠すと、そっぽを向いた。
 ヨシアは暇になって片足を足踏みさせていると、住宅街の中から出てくるフェイルとアリファを見つけた。

「お、帰って来た」
「ごめん、待たせた」

 せかせかと戻って来る二人にヨシアとリツカはそれ以上の詮索をしなかった。
 触れていい話題と悪い話題の良識程度は持ち合わせていたからだ。
 ただ、アリファの指輪がフェイルの指に移っている事に気づいて、二人は目を合わせて笑みを浮かべた。
 ヨシアは何気ない様でフェイルの肩にがっつく。

「それじゃ行くか、エオス塔はすぐそこだ」

 フェイルは頷き返事を返すと、勇み良く足を出した。
 皆がそれに続き、数分歩くと、エオス塔はフェイル達の眼前にそびえ立っていた。
 フェイルは思わず息を呑んだ。

「これが……エオス塔」
「さっさと入れ」

 ヨシアがフェイルの背中を押した。フェイルはバランスを崩し、エオス塔の中へと入る。
 それに続いて皆もエオス塔に入っていった。
 フェイルが納得いかない様にヨシアの方を振り返った。

「今までの思い出が走馬灯の様に走っていたのに」
「今までの? 馬鹿言ってんじゃねえよ。今からだろ」

 ごく自然過ぎる事にフェイルは気づかされた。
 間抜け過ぎる自分の決別を示すかの様に、指輪のはめられた手を強く握り締める。
 だがここで、ふと感じた疑問をフェイルは漏らす。

「だけど、100階があるにしてはやけに低い塔じゃない?」

 確かに、と唸る皆だったが、リツカだけは寝惚けた事を言っているといった様を示していた。
 皆がリツカの方を自然と見ると、リツカは頬を掻いた。

「低いも何も此処が100階よ。この塔は101階まであるけれど、構造は100階から地下に伸びてるから言わば此処が1階ね」
「という事は此処はもう、至災の間がある100階ってこと!?」
「そういう事になるわね」

 フェイルの問いに意図も容易く答えると、皆は驚愕した。
 考えてもいなかった。此処が終着点等とは。

「じゃあ、100階裏ってのは何処にあるんだよ」
「此処が100階なら確か……」

 ヨシアが動転している内にアリファが壁を沿う様に触っていく。
 僅かに窪みがある箇所を見つけると、アリファはローブを脱ぎ捨てた。
 シースルーに近い露出的なワンピースと共に、黒翼があらわになると、途端に壁と黒翼が共鳴し始めた
 互いが異様な淀みを放つと共に、その壁は入り口を作り上げた。

「最果ての泉で生まれた私の様に、超自然で発生した特殊万物でないと、此処の入り口を開く事は出来ないの」

 自らが誕生した時から記憶にすり込まれていた様にアリファが語る。
 だがその最中、フェイルは顔を赤らめていた。

「改めて見ると、少し過激な服だよね」
「え…なんかそう言われると恥ずかしい」

 アリファも顔を赤らめた。だが、今から悪心を葬る以上、その対象である黒翼を覆うわけにいかない。
 二人が目を細かに動かしながら裏口へと入って行く様を見て、ヨシアは苦笑いした。
 暫く裏口を進んでいくと、今度は大きな門の様な扉に出くわした。
 動かない様にロックが掛けられている様だったが、鍵穴等は存在しない。
 フェイルが困った様子を見せていると、アリファは後ろからフェイルの剣を引き抜いた。

「その扉も私の黒翼で開けられるんだけど……フェイルのその剣でも開けられるから」
「俺の剣で?」
「さっきの入り口も本当はフェイルの剣でも開けられたのよ? ただ私が少し格好良いとこを見せたかっただけなんだけどね。その剣、アダムの王剣は同種の剣、イヴの妃剣と対を成している人類最古の剣だから。それも超自然で発生した特殊万物なの」
「アダムの王剣ってそんなに凄い剣だったのか。知らなかった」

 フェイルが感心した様にしていると、アリファは扉に剣を突き立てる事を催促した。
 その通りにフェイルが剣を突き立てると、扉と剣は眩い光で共鳴した。
 その光がアリファを結晶から救ったあの時の光と同じ事にフェイルは驚嘆した。
 アリファを救った時のあれも、アダムの王剣が生み出した共鳴だったのだと。
 光で前が見えなくなかった刹那、光は途端にその輝きを止め、皆が気づくと扉は既に開ききっていた。

「門が開いたな」

 ヨシアが息を小さく吐きながら呟いた。
 この言葉で皆は少し安堵したに違いない。ヨシアが自分と同じく心拍を早めているという事に。
 来ると理解していたはずこの時が、何故か今になって、とてつもない重圧になって襲い来る。
 皆が足を動かせない最中、フェイルがそれを打開した。

「行こう。迷いは捨てたはずだ」

 途端に皆は軽くなった足を実感した。
 フェイルの言う通りだった。迷い等既に捨てて来た。ならば何に怖れる必要がある。
 直進。フェイル達は、至災の間へと入っていった。









もう迷いは無い。最高潮(クライマックス)は眼前に!

次回、至災の間。易々と物語は終わら……ない?


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>のくにぴゆうさんへ

こちらこそ有難う御座います。

GTOですよ。大好きなんですGTO (笑)

応援有難う御座います! のくにぴゆうさんも頑張って下さい!
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