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アリファリング No.ep メイプルストーリー

2010年05月03日 00:34

 この世界はメイプルワールド。その中のビクトリアアイランドに存在する街ヘネシス。
 緑豊かな自然と、それに調和するように安穏とした街並みが広がっている。
 この街の民家はおおよそ集合しているが、そこからは少し離れ、森林部に位置する民家がある。
 人里離れたその民家に住む少年は、艶やかな銀髪をなびかせながら、家を出た。
 背中には父の形見であったアダムの王剣ではなく、切れ味には自信のある、自前の剣を持参している。
 以前は危険を察知し、隠れていたモンスター達だったが、
 今は、殺気を全く出さず、共存の意を示しているフェイルの横を平然と通っていく。
 切り株モンスターのスタンプや、キノコモンスターのメイプルキノコが悠々を周りを通っていく中、
 スライムの群れがフェイルの前方に立ち塞がった。

「お! お前達、またやるのか?」
 フェイルは笑むと、3秒でスライムの群れを蹴散らしてみせた。
 中には真っ二つに切り裂かれたスライムもいるが、形状記憶能力を持っている為、すぐに再生する。
 スライム達は納得いかなげだったが、負けは負けと認め、追撃はしなかった。
「お前達も懲りないなあ。またいつでもこいよ」
 そう言って、フェイルは剣を担ぐと、上機嫌で歩いていった。
 スライム達にとっても、フェイルにとっても、これは恒例といったようなもので、
 お互い切磋琢磨する為のものである。といってもフェイルにとっては遊び同然なわけだが。

 フェイルが森林の奥へと進んでいると、虹色の蝶が横を通った。
「もうすぐってことだな」
 フェイルが虹色の蝶を追っていると、何やら足場が緩い。
 ここだと言わんばかりにそこの草を掻き分けると、穴があった。
「そうそう、この穴だ。あの時はうっかり落ちたからな」
 フェイルが穴に飛び込むと、穴は変わらず長い滑り台のようになっており、
 そこを滑っていると、到着地点が見えた。しかし思いのほか速度が早く減速が追いつかない。
 フェイルはしりもちをつくと、そのまま悶絶した。
「これじゃ前の時と同じじゃないか。でもケツで着地するの上手くなったかも。成長したな俺」
 そんな以前とも感傷に浸りつつも、フェイルは辺りを見回すと、感極まった。
「やっぱし二度目でも秘境は綺麗だ。というか宝石箱だなこりゃ」
 勝手に風評をつかながら、相変わらずの魅力に惹かれつつも、
 フェイルは我を思い出したように辺りを見回す。
 最果ての泉、その周辺、秘境全体。しかし全てを見回したうえで肩を落とした。
「そりゃあ結晶が再構築されてるわけないよな」
 フェイルが期待していたのは、結晶が再構築されていないかだった。
 そもそも、結晶自体が悪心の塊のような物ゆえ、そんな軽々と悪心が復活しては困るわけだが、
 やはりフェイルはアリファのことを割り切れなかったのだ。
 もし結晶が再構築されていれば、アリファがそこに居るかもしれない。
 そんな薄い望みを懸けて。その望みが叶えば、また世界は危機に晒されるわけだが。

 フェイルは最果ての泉まで走った。泉の下まで辿りつくと、あぐらをかいて、水面とにらめっこする。
 無論、いくらにらめっこしようとも、水面には自分しか映らず、結果すぐ頭をあげるだけなわけだが。
「変な話だよなあ、世界が平和であればある程、お前とまた会える可能性がなくなるなんて」
 フェイルは泉に向かってぼやいたが、何も返ってくるものはなかった。しかし、構わず話を続ける。
「お前が葬られたあの後さ、ヨシアとリツカ、なんかニマニマしちゃって。俺達は二人で旅を続けようと思う、何か大切なものが見つかるかもしれないから。とか言って俺だけ残して二人旅よ」
 手でしぐさを加えながら説明するフェイルだが、やはり何も返ってこない。
 というより、何か返ってくることを期待しているわけでもないのだが。
「大切なものが見つかるかもって、お前等もう隣にあるじゃないかって話よ。あるじゃなくて、いるが正しいかな」
 水面がそれとなく、揺れたような気がして、フェイルは乗り気で話を進めた。
「結局ボインボイン言ってたけどさ、何だかんだで相思相愛ってやつだったんだって思うよ。あいつ等」
 泉が波打ったように見えた。というより、波打った。
 偶然といえばそれまでだが、フェイルにはアリファの意識のようなものが感じ取れた。

「悪い、話がそれた。本当はさ、返しに来たんだ、指輪。あの時、気が気じゃなくて頭のどこかに吹っ飛んでから渡せなくて、今更なんだけどね。俺はアリファといつでも一緒。なんてね」
 フェイルは指から指輪を抜くと、指輪を水面にかざしてみた。
 水面には綺麗なニスのかかった木製の指輪が映る。別段高い代物ではないが、
 何故かそこらの高級品なんかよりは、一段綺麗に見えた。
「リスでこれをプレゼントした時、お前は物凄く喜んでくれたよね。俺はそれが嬉しくてたまんなくてさ、気持ちがこもった物には心が宿る。なんて言ってさ、有頂天になってたっけな」
 水面の揺れを見ながら、フェイルは陽気に話す。
「でも、もうお前は俺の中にいる。だからこの指輪は必要ないんだ。返すよ。ありがとな」
 フェイルは指輪を握った手の上に乗せると、コインを弾く要領で指輪を弾いた。
 指輪は綺麗な弧を描き、泉の中に落ちると沈んでいく。
 見えなくなっていく指輪を眺めながら、見えなくなったのを確認すると、フェイルは立ち上がった。
「さてと。長話してもなんだし、俺はそろそろ行くわ」
 フェイルは服についた、泥などをはたくと、髪をクシャクシャと掻いた。
 掻いたうえで、再度整えると、ふと息をつく。
「またね、なんて言わないよ。俺はもうここには来ない。悪心は復活しないと確信したから」
 それはすなわち、アリファはもう現れないという確信でもあり、現実とのけじめでもあった。
 フェイルが踵を返し、秘境を後にしようとしたその時、
 水面が音をたてたかと思うと、どこからか懐かしいような声が聞こえた。

「じゃあね、フェイル」
 フェイルは振り向いたが、人影はどこにもない。
 思わず、息を漏らすと、体ごと振り向き、手を上げた。
「じゃあね、アリファ」
 そう言ってフェイルは、迷いなく再度踵を返すと、秘境を後にしていった。
 フェイルがいなくなった秘境に、木々のざわめきと泉の滴る音が響く。
 空は快晴。天気からして明日もまた、晴れそうだ。



遂に完結! おめでとう俺!
なんか意味不明な小説でしたけど、最後はスパッと纏めてジ・エンド。
終わりよければオールOKということで、アリファリング完結させて頂きます。

でも何だかんだいって本当、書いてよかったです。
完結までだらだら更新だった癖に言うのもなんですけど、名残惜しいです。
もうフェイルやアリファとは話を展開していけないと考えると、なんか……はい。

まあこれは次のバネにするということで、あとがきにさせて頂きます。
本当にありがとうございました! 次回作にもご期待ください。

応援よろしくお願いします。
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コメント

  1. 篁 | URL | -

    遂に完結ですか。おめでとうございます。
    一つの作品を考えて書き始めると楽しくなり、終末に向かって加速し、やがてどう話をまとめていくか・・・これは話を書き終えた者でしか分からない葛藤と喜びですよね。
    これからも書き続けてくださいね。

    といいつつ、僕はこの頃は全く小説を書いたりしていません。
    こんなことじゃぁ、いかんなぁとは思うのですけどね(苦笑)

  2. ゆぅし | URL | -

    今までお疲れ様でした!
    アリフィリング、凄く面白かったです!
    こんなつたないコメントで申し訳ありません><;
    次回作期待してます!
    これからもガンバです!(`・ω・´)

  3. りぼ | URL | -

    こんばんは篁さん。

    ありがとうございます。
    運動、文化問わず、何かを成し得るということは感極まりますね。
    これかも書き続けていこうと思います。

    なんて、小説をまともに読まない自分が言えたものではありませんが。
    これからは小説なんかも暇があれば読んでいきたいなあ、

    と、思っています(苦笑)。

  4. りぼ | URL | -

    こんばんはゆぅしさん。

    ありがとうございます。そんな褒めちぎられたら、顔がニマニマしちゃいます(笑)。
    次回作はある程度案が固まっています。どこまで続くかわかったもんじゃないですが。

    これからもガンバします!

  5. 武蔵龍 | URL | -

    初コメになります。どうもいつぞやはコメント有り難うでした。

    実は以前よりアルファリングは完結したら一気に読もうと思っていました。
    一読者の感想としては、とても惹かれる話で、何よりメイプルをやっている側からすると
    いろんな世界観(たとえばワープの所とか)が反映されてて面白かったです(笑
    是非また純粋なメイプルの小説とかを書いて欲しいですね(笑

    最後になりましたが完結おめでとうございます!次回作も頑張ってください^^

  6. りぼ | URL | -

    おはようございます武蔵龍さん。

    アリファリング、読んでくださってありがとうございます。
    メイプルユーザーを狙ったこの小説だったんですが、
    結局は殆どメイプルユーザーには見てもらえず、
    何だかハズしてしまったような形になってしまいました(笑)。

    しかし、武蔵龍さんのように、
    幾人かのユーザーには見ていてもらえたらしく、それが唯一の誇りですね。
    また気がむけば、メイプル小説を書いてみようと思います。
    その時はもっと多くのメイプルユーザーに見てもらえると嬉しいなぁ。

    完結ありがとうございました! 次回作も頑張らせていただきます!

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