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蜉蝣エスカピスト No.1

2010年05月07日 00:00

 4月14日、午前10時。
 高校で始業式が行われてから初めての日曜日。
 浅田(あさだ)、と表札をかかげた二階建ての家の前に、
 黒髪を首下までのショートカットでキメこんでいる、新堂 優人(しんどう ゆうと)は立っていた。
 今年で高校三年生、年は17の優人は170と少しある視点から、二階の窓を覗き込む。
「遅いなあ。もう10時だし、中に入ってもいいんだけど」
「おっす!」
 朝の住宅街には少々大きな声が、玄関からではなく右手の道路から響く。
 優人が振り向くと、金髪の少年が歩み寄ってきた。

「朝から元気、というよりうるさいねえ、クラスメイトの甲斐 信也(かい しんや)君」
「君こそ、朝からストーカーに見間違われるよ、クラスメイトの新堂 優人君」
「分かりやすいからここがいいって言ったのお前だろ!」
 優人が喧嘩ごしに仕掛けたのをきっかけに会話はエスカレートしていく。
 朝にはいささか騒々しい声に張り合いが、住宅街に響いた。

「ごめんごめん、遅れちゃった! それにしても声、響いてたよ」
 今度は玄関の戸が開くと、慌てたように少女が飛び出し、声をあげた。
 信也は少女を見ると、それまで眉間に寄せていたシワを一気に引かせ、白い歯を見せた。
「やあ浅田さん、今日はなんて太陽が眩しい日なんだ。そう、君は太陽」
「朝から白馬の王子様テンションはいいよ。いつもは美咲(みさき)って呼んでるくせに」
「悪い悪い、優人はどうでもいいけど、美咲と同じクラスなんだって思うとテンションあがっちゃって」
 信也は笑みを見せると、優人は怒りを堪え、苦笑いを浮かべながら割って入った。
「大体、今回は俺と美咲だけでよかったんだ。お前は毎回毎回着いて来んな」
「いいじゃないか。大体お前ら、男女二人で歩いてたらカップルだと思われっぞ」
「優人、信也の言う通りだしいいじゃない、二人より三人の方が盛り上がるし」
「そーだそーだ」
 煽る信也にむっと眉間を寄せつつも、美咲も言うならばと、優人は渋々納得した。

 元々、優人と美咲は保育園時代からの幼馴染で、二人で遊ぶことなどは多々あった。
 中学時代にもなると、周りからはカップルだのなんだのとちやほやされたが、
 実際、優人と美咲には互いに恋愛感情は存在せず、
 それは言わば、兄弟姉妹に近い関係と呼ぶに相応しかった。
 そんな二人の関係に間を裂いて入ってきたのが信也だった。
 信也とは高校からの仲だが、今年で高校三年生になった優人、美咲とは三年間同じクラスである。
 美咲と三年間同じクラスになれたのは、優人にとって最高の奇跡であったが、
 信也とも三年間同じクラスになったのは、優人にとって最悪の不幸であった。
 ともあれ、そういう経緯があって、今三人は仲良しこよし? という状態にあり、
 始業式を迎えて最初の日曜ということで、遊ぶことになったのだ。

「さあさあ最初はどこから行きますか、皆でせーの、ボウリング!」
「言ってないよぉ」
 勝手に盛り上がる信也と美咲を横に、優人は少々鬱に浸っていた。
 個人的な要望としては美咲と二人で喫茶店に行ってコーヒーをたしなむ。
 そんなロマンチックで少しばかり背伸びしたようなことをしたい。
 しかし、今更そんなことを言っていては始まらない。優人はふっ切れたように叫んだ。
「あぁもう! ばんばんボウリングいっちゃおう!」
「盛り上がってきました!」



出だしの意味不明さとは相なって、今度はさわやかパンチな意味不明さです。
優人、信也、美咲、最初からはっちゃけ過ぎです。本当にありがとうございました。

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