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蜉蝣エスカピスト No.4

2010年05月08日 23:04

「何で俺の名前がわかった」
「私にあなたのように、世界の条理から外れてしまったものの情報を頭の中で得ることが出来るの」
「世界の条理から外れた? 何言ってんだあんた」
 信也は理解しかねるように、目を細めたが、優人は思わず目を逸らした。
「貴方はもう薄々気づいてるんじゃないの? 優人。自分がこの世界で過ごすべき人間じゃなくなったことに」
「な、何を言ってるんすか。世界で過ごすべきじゃない? 馬鹿馬鹿しい」
 額に汗を滲ませながらごまかそうとする優人を見て、藍は後ろに指示を出した。
 一人はそれに頷くと、自前のカバンから野球ボールサイズの鉄球を取り出し、優人に投げた。
 優人はそれを慌しげに受け取る。

「何すか、これ」
「野球ボールサイズの鉄球。中身はビッシリよ。それを思いきり握ってみなさい」
「はっ! 鉄球を握ったって何も起こるわけねえじゃねえか、なあ優人!」
 信也は馬鹿にするような態度を取ったが、優人は黙って鉄球を見つめた。
 不安が的中しないことを願いながら、それに握力を込めるが、その不安は現実のものとなる。
「嘘……だろ」
 信也はその光景を信じられないように見ていた。無理もない。
 優人が握った鉄球が、亀裂を帯び、その場で砕けたのだから。
「人間が鉄球を握力で砕けるわけがない! 中身がスカスカなんだろ、なあ優人!」
 黙り込む優人に業を煮やし、信也は胸倉を掴み上げた。
「その通りだって言えよ! 鉄球砕きましたってアピールでもしてえのか!」
「鉄球は、確かに本物だった。信也、俺はおかしくなっちまったのかな」
「いえ、決して貴方はおかしくなったわけじゃない。人間として壁を超えたのよ。私のように」
 藍は信也に胸倉を離させると、信也の肩に手を乗せた。その手には深い何かを感じさせられる。
「不条理の歯車は、廻り始めたの。もうあなたはこの世界に生きられない」

 照らし出す太陽が、嫌に眩しく感じられる。
 優人も同じではあったが、信也はそれに輪をかけて、
 連続して続く現実の屈折に、自身が狂いそうになっていた。
「もうわけ分かんねえよ! 美咲は黒渦に呑み込まれるし、優人は鉄球を砕くし」
「黒渦? 待って、その黒渦っていうのは身の丈より少し大きい程度の?」
「そうだよ! ついさっき、その道端にいきなり出現して友達を呑み込みやがった」
「どういうこと? アドミラルの黒渦が向こうから出現するなんて。詳しく教えて」
 藍が動揺しながら、詳細を求めると、信也は先刻起こった出来事を語りだした。
 それを見て優人は、信也が語り抜かした部分を補足しながら、説明の漏れを防ぐ。

「ということは、黒渦から人間の手が出て、貴方たちの友達、浅田 美咲を引きずり込んだと」
「そういうことですね」
 優人は思い表情で頷いた。信也はあの時、美咲の手を掴むことに必死で、
 美咲が何者かに引きずり込まれていた、ということに気づかなかったらしい。
「黒渦の出現に、人間の手、即ち成体のアッシュが出現したと。世界も大きく動き出したわね」
「意味が分かんねえ用語ばっか使われてもわけ分かんねえよ」
 藍に喧嘩ごしを示す信也を、優人がなだめる。
「落ち着け信也。藍さん、美咲の喪失と、俺の異常化は関係があるんですか?」
「そうね、貴方にはアドミラルと自身の光子能力を知って貰わないといけないわ」
 藍は両手で短髪をとくと、ちらりと青空を見て、視界を戻した。
「恐らく、これから貴方が入る世界は、美咲の救出に直結するわ」



繋がる不条理、まだ知れぬ謎。
二回目の更新ともなると、結構疲れますね。私だけかな(汗)。

応援よろしくお願いします。
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コメント

  1. アラララ | URL | -

    あれ、小説が消えてる…続き読みたかったのに。
    一体どうしたんですか?
    頑張ってくださいね。

  2. りぼ | URL | -

    こんにちはアラララさん。

    すいません。とりあえずこのブログは、この状態のまま停止させています。
    というのも、作者がこのブログから、メイプル公式掲示板→モバゲーと、移り気していった他ならないのですが(汗)。


    ちょwリアルとメイプルの世界が一緒になったwww

    という小説を、一時期ここに載せていましたが、それは元々公式掲示板での小説だったので、結果的に、自粛させていただくことにしました。


    現在は、蜉蝣エスカピストをシリアスギャグ風にアレンジした、可笑思議優吉(おかしぎゆうきち)の異象多難という小説を、モバゲーで執筆しています。

    もしまた、このブログで何らかの小説を連載する時は、どうぞ、応援よろしくお願いします。

  3. | |

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